我々がこよなく愛している、北投のラジウム温泉は放射線を放出していて危険なのでは、という声をよく聞きます。
小生はガイガーカウンタを温泉場に持ち込み、温泉の吹き出し口とか、湯船の上とかいろいろ測定してみましたが、線量率でいうと、0.2マイクロシーベルト/h を上回ることはめったにありません。
つまり、この値は、福島第一原子力発電所の周囲50キロの被爆量を上回るような値ではないのです。
少量の放射線は有害でなく、健康によいといわれる、ラッキー博士のホルミシス効果最近、再び話題になっています。しかし、この北投温泉の外部被爆量は毎日浴びたとしても、ホルミシス効果の最適量にも届かないくらいです。
北投のラジウム温泉でもっとも純度が高いと思われる、新秀閣とか、北投公共温泉で測定した結果です。
では、なぜ、ラジウム温泉が効果があると言われているのでしょうか? それは、主な効果が内部被曝にあると小生は思っています。
実際には、ラジウムそのもから発生する放射線でなく、ラジウムが壊変したラドンが、温泉場の放射線源です。
ラドンは、気体で、水に溶けやすいので、主に、体外の被曝よりも、水蒸気に溶けこんで肺から吸収される、内部被曝効果が、温泉効果の実体だと思われます。
湯自体は、硫化バリウムがメインで、これはこれで強酸性度の特長あるもので、体に作用して、新陳代謝を高める効果などもあるとは思われます。
しかし、やはり肺や胃腸から取り込まれるラドンが所謂ホルミシス効果をもたらすと思われます。
重要なことは、ラドンの半減期はわずか4日間であることです。体内蓄積はまずあり得ません。したがって、実際はあり得ませんが、短期間の比較的多い内部被曝でも、時間がたてば消えていきます。
しかし、放射線同位体でも、例えばセシウム137などは、30年の半減期です。また、どんな微量でも体内に蓄積されることがわかっており、幼児や子供には、微量であっても内部被曝は避けるべきです。
また核廃棄物で、多くを占めるヨウ素131は半減期は8日と短いですが、体内被曝すると甲状腺に集まる傾向があり、これが甲状腺癌を引き起こすと言われています。
放射線自体は、アルファ、ベータ、ガンマと単純なのですが、それを発生する放射線同位体は、上に書いたようにいろいろと異なった特性があり、また人体への作用の仕方もいろいろなのです。
ですから、低レベルの放射線被曝は体にいいと、一言では言えない事情があります。
話がそれましたが、我々が毎週のように浴びている温泉のラドン同位体は、その量からいっても、特性からいってもまず安全であり、ホルミシス効果のいい部分を体験できていると思います。
小生が皆様に勧めているのは、できるだけ、ラジウム温泉の水蒸気を吸い込むことです。
ラドン自体は大量に肺から吸収して、肺がんになったというWHOの報告もありますし、WHOでは、量にかかわらず、ラドンは肺がんを引き起こす可能性のある危険な物質と定義しています。このように、欧米の公的機関は異なった見解を出しています。
おそらくこれは、ホルミシス効果をもたらすよりも遙かに量が多い場合に起こり得ることであると推測します。