電話番号というのは、普通は各国の番号をそれぞれの国にいて、使うのが当然ですね。しかし、バーチャル番号という仕組みを使うと、例えば、台湾の携帯番号を、日本やインドで利用できるのです。
そんなことが何で必要かと不思議に思うでしょうね。
私の知り合いのインドの電子商社は、台湾の会社と取引しています。メモリーチップやモジュールの取引は、相場ものです。常に価格が変動するので、株の売買の如く、いつも電話で売り買いの指示を出しています。最近流行りの電子取引にしないのかと、不思議に思うのですが、やはり相手の声を聞きながらでないと、調子が出ないようです。
そのインドの会社の社長は、常に、携帯で頻繁に国際電話で台北の会社へコールしています。それなりに、毎月高額な電話料金を払っていたようです。
また、仕入れ先も、これに合わせるように、台湾から、ニューデリーに国際電話をせざるを得なかったようです。
今回、例のバーチャル台湾携帯番号を、そのインドの友達のiPhoneで使えるようにしてあげました。
バーチャル番号を本格的に使うには、つぎのプロセスが必要となります。
ニューデリーで、台湾の番号はバーチャルになるわけで、実際に台湾にいないのに、あたかも台湾にいるように振る舞えるわけです。
ニューデリーで発信すると、料金は台湾で電話するのと同じかそれよりも安くなります。料金だけでなく発信者番号が、台湾の携帯番号になります。0973xxxxxxx という形に。台湾の人が、その携帯で受信すると、あたかも台湾から電話が来たように、表示されます。
この番号に、かけ直すと、ニューデリーにいる、その社長のiPhoneに繋がります。
台湾の業者さんにも、メリット多大です。いちいち、国際電話で、ニューデリーの番号に掛けなくても、台湾の携帯電話番号(のように見えるバーチャル番号)に、掛けるだけで、ニューデリーのお客と話ができるのです。料金はもちろん、台湾国内から台湾国内への携帯電話の通話料金だけです。
このようなバーチャル番号は、欧米の会社が主に、販売しています。価格は、販売する会社によっても異なるし、そのバーチャル番号の国籍によっても価格は異なりますが、先の台湾の携帯番号は9.5ユーロドルです。日本円では、1,100円程度ですね。受信するだけなら、毎月この金額だけです。
もし、この番号で発信すると、台湾や日本の国内通話料金と同等か、それ以下の通話料金だけで済みます。
詳しい申し込み方法などの説明は別な機会に譲るとして、どのような、しくみになっているかは、図を参照ください。バーチャル番号を使う方法は、大きく分けると3通りあります。
1. バーチャル番号を販売しているアイルランドの会社の転送サービスを利用する。
転送毎に、転送費用が発生します。しかし、この料金は、格安国際電話の部類です。Skype out よりも安いと思います。転送先が、一般の固定電話または、携帯電話なので、一切のハードウエアの投資が要りません。しかし、通話は受信オンリーなど、機能は制限されます。
2. IP電話機または、iPhoneなどのスマートフォンを使い、インド側もVoIPにし、アイルランドの会社のサーバーと、SIP端末の登録をする。
これにより、バーチャル番号と、SIP 端末が、一対一になり、すべてのバーチャル番号へのコールが、そのIP電話機、またはスマートフォンで受信できます。但し、スマートフォンは、3GまたはWiFiでインターネットに接続されていないといけません。スマートフォンの場合は、VoIPアプリも必要です。iPhoneの場合は、バックグラウンドでもよく働いてくれる、AcrobitsのSoftphoneなどが、良いかと思います。
3. 上記の1.2.の場合は、個人やSOHO向けです。さらに、進化したスタイルは、IP PBXを用意し、それに、バーチャル番号を登録することです。
すると、こんな状況が可能になるんです。例えば、
3.1 インドの彼が、台湾からの通話中に、別な台湾の会社からコールがあったときに、話し中にならないで、ニューデリーオフィスの秘書が別なIP電話で、対応する。
3.2 彼が受けた電話を用件を処理してもらいたいスタッフに転送したい。その場合、通話を保留し、転送する。
3.3 iPhoneの内線と、別な内線と通話する。別な内線とは、インド国内のみならず、別な外国でも良いのです。インターネットが使える場所ならどこでも。
その他、もっともっと、いろんな機能があります。大事なことは、SIPトランクという、接続方法でIP PBXと繋いでいるので、バーチャル番号がひとつでも、2チャンネル、もしくは4チャンネル(香港の場合は4チャンネル)と言うように、多重通話が可能になるということです。
ところで、インドの彼は、香港に取引用の会社を持っています。といっても、よくある、ペーパーカンパニーです。HSBCのネット銀行機能をフルに使い、香港の会社を通じて、取引することで、大幅に節税をすることができます。インドの複雑な税法をバイパスすることもできます。
いままでは、香港に番号といえば、プリペイドの携帯番号しかなく、後は、会社を登録してある、会計士の電話番号だけでした。名刺にある電話に電話すると会計事務所が応答します。あまり、体裁がよくありません。
香港の番号も欲しいと言われ、また、このアイルランドの会社から購入しました。月額が6.95ユーロです。日本円にして、790円程です。番号は、3051xxxx というような番号でした。
これも、同じくPBXに登録して、同じ内線で受発信できるようにしました。発信する場合は、台湾番号で発信することも、また、香港番号で発信することも区別ができます。
このことは、重要です。最近は携帯電話の普及で、発信者番号の認識が高まりました。世の中、誰から掛かってきた電話かとても気になるようになってきました。通話が話し中の時や、不在の時、その通話記録を元に、相手にかけ直すこともできるようになりました。
この仕組でも、台湾の会社へ掛けるときは、台湾の番号を表示し、香港の番号へ掛けるときは、香港の番号が表示できると、相手に取ってとても親切になります。
ということで、バーチャルオフィスとバーチャル番号が融合して、とても便利になりました。それにしてもiPhoneは凄い機能です。
なお、iPhoneで重要なことがひとつあります。このように、VoIPのIP電話機能やスカイプを使いまくると、バッテリー切れがすぐに発生します。予備の外付けバッテリーを忘れずに用意しましょう。電池切れで、相手からの通話が受けられないことほど、恥ずかしいことはありません。